江原社会保険労務士事務所

退職金制度の見直し

退職金制度は、次に述べる理由から、見直しを迫られています

1 長期雇用の奨励を目的とした退職金制度については、転職など雇用の流動化が進み、企業側としても終身雇用を保証できない経済情勢のなかでは、廃止を含め、抜本的な見直しが各企業で行われつつあり、実際に廃止した企業も増えてきていること。
2 退職金の支払いに必要な資金の積立制度として従来活用されていた適格退職年金制度(平成24年3月まで)や退職給与引当金制度の廃止に伴い、確定拠出型年金や中小企業退職金共済制度など新たに社外の積立制度の導入を検討しなければならないこと。
3 65歳までの継続雇用制度の導入の義務化(平成18年4月)に伴い、高年齢者の仕事、給与、退職金の再構築が不可避であること。

実際に検討する場合の留意事項

1 実際に中小企業で退職金制度の廃止を検討されているところは、退職金制度の目的ではなく、支払い資金の積立不足に要因があるようです。いずれにしても、退職金を減額、廃止する場合は、社員一人一人の個別の同意が必要です。
退職金規定を一方的に変更しても、不利益変更に該当するため、社員が同意しないと変更は無効とされてしまう恐れがあります。
社員の同意を得るためのキーワードは、代替措置と経過措置です。
代替措置とは、たとえば退職金を減額する代わりに賃金に上積みするなどの対策を取ることです。現段階では、65歳までの継続雇用を導入することが代替措置として有力であると考えられています。
経過措置とは、たとえば、今在籍の社員については、現状の規定を適用し、新たに入社する社員から新制度を適用するという既得権を守り、同意を得やすくする方法です。
いずれにしても、退職金規定の変更は、社員にとって非常に大きな影響を与えるものですので、社員一人一人ごとの影響度合いを検討して、きめ細かい配慮が必要です。
2 退職金の積立制度については、その前に、退職金制度自体をどうするのかを検討のうえ、退職金制度として残す場合に、いくつかの選択肢から選ぶことになります。
実際の選択肢としては、
厚生年金基金、確定給付企業年金、確定拠出年金、中小企業退職金共済、養老保険(福利厚生保険)です。
それぞれ、制度として特徴がありますので、比較検討のうえ、自社のニーズに沿うものを決定してください。
3 65歳までの継続雇用制度は、既に説明したように退職金制度の変更の際、代替措置として機能すると言われています。雇用継続を社内で検討するときは、退職金制度の見直しを合わせて実施されることをお勧めします。