江原社会保険労務士事務所

就業規則の作成・変更のポイント

会社の実態に即した内容を規定する

就業規則を作成する時に、白紙状態から作成することは実際上不可能ですので、市販の参考書のモデル就業規則や他社の就業規則を参考に作成されることが多いと思います。
この場合、特に注意したいのが、モデル就業規則のなかには大企業を想定した規定となっているものがあり、中小企業としては高水準の労働条件となってしまうケースがあります。
たとえば、病気休職の休職期間の定めについて、一年以上で設定されているケースなどです。労働法令上病気休職についての規定はありませんので、本来各会社の実情に応じた設定ができます。
1000人社員のいる会社で一人抜けるのと10人足らずの社員の会社で一人抜けるのでは、その影響は、大きく異なります。
休職期間をどう定めるかということですので、各会社の実態に合わせた規定が重要なのです。

法律の定めた最低基準は、遵守する

会社の実態に即した内容とすることは、重要ですが、法律違反を犯すわけにいきません。
たとえば、年次有給休暇は、法律上一年繰り越すことができます。これを繰り越すことができないとすると明白な法律違反になってします。
反対に、慶弔休暇は、法律上の規定はありませんので、設定しなくても、また、無給としても、全く問題はありません。
ここで大切なのは、さまざまな労働条件のうち、何が法律上最低基準が規定されていて、何が各会社で任意に決められるかを把握することです。

就業規則の不利益変更は、個別の同意がいる

平成20年に施行された労働契約法では、第9条で労働者と合意することなく就業規則の変更により労働者の不利益に労働条件をすることはできないとされています。
第10条では、例外的に労働者の合意無く就業規則の変更により労働条件の不利益変更を行える条件を規定していますが、その条件は、いままでの判例の内容どおりで個々の労働者の合意を得るのと同じような努力が必要です。
ですから、一度作成した就業規則を労働者に不利益に変更することは個々の労働者の同意が必要と認識しておく必要があります。
まず、最初に作る就業規則の内容には十分注意が必要だということです。

トラブルの発生を想定した規定を用意しておく

これからも増加すると見込まれる個別労働紛争を未然に防止し、発生しても大きなダメージを受けないように、トラブルの発生を想定した規定を用意しておくことが、現代的な就業規則作成の目的です。
たとえば、「退職届」と「退職願」では、その意味するところが違うのです。 「退職届」とは、労働者から一方的に労働契約の解約を通知することです。 これに対して「退職願」とは、労働者からの労働契約の合意解約の申し込みですので、会社の承諾が必要です。 一字の違いでその意味するところが大きく異なるのです。
もちろん、労働者から退職を申し出て、会社がその申し出を承認する「退職願」が望ましいので、就業規則にも「退職願」と規定しておくことになるのです。
なにげない表現のなかにさまざまな知恵を織り込んでいくのが、就業規則の作成と言えるでしょう。

事業内容に最適の労働時間制度を採用する

労働時間は、ごく一部の事業を除き、一日8時間、一週40時間と上限が定められていますが、事業の特性に応じて弾力的な制度を認めています。具体的には、
■一ヶ月単位の変形労働時間制(一ヶ月のなかで、繁忙が集中する事業所に向いています。)
■フレックスタイム制(クリエイティブな業種に向いています。)
■一年単位の変形労働時間制(一年のなかで、繁忙が集中する事業所に向いています。)
などがあります。さらに、みなし労働時間制として、
■事業場外みなし労働時間制(事業場外で業務することが多い販売職などに向いています。)
■専門業務型裁量労働制(限定された専門業務を行う場合の特例)
■企画業務型裁量労働制(事業運営の企画・調査等を行う場合の特例)
を採用することもできます。
会社の事業の特性に応じた労働時間制を導入することをお勧めします。