江原社会保険労務士事務所

企業防衛の観点から、就業規則の重要性が見直されています。

法令順守(コンプライアンス)と就業規則

会社内部で法律違反行為が行われ、内部告発などで事実が発覚し、会社のトップがカメラの前で頭を下げる場面がめずらしくありません。 法令違反行為は、会社の対外的信用を一挙に失墜させる恐れがあります。
労務管理の分野においても、サービス残業問題、名ばかり管理職問題など、常にマスコミで報道されています。
このような流れを受けて、法令順守が強く会社内でも求められるようになってきましたが、労務管理の分野では、就業規則を最新の法令に合わせて整備し、規則に従い労務管理を行うことが、法令順守につながります。
たとえ、労働者との間にトラブルが発生し、トラブルが社外に持ち出されたとしても、就業規則を適切に運用していれば、法令違反に問われることがないのです。
このことが、企業防衛の観点からみた就業規則の重要性のひとつです。
また、現在の労働法令の流れは、労使協調を前提に労働基準の弾力的運用を認める方向に進んでいます。
たとえば、専門業務型裁量労働制や企画業務型裁量労働制など、一定の職種について、労働時間に関して弾力的な運用を図れる制度が採用できるようになっています。 これは、最新の法令に合わせて就業規則を整備することの大きなメリットです。

リスクマネジメントと就業規則

個々の労働者と会社とのトラブルが会社外に持ち出されるケースが急増しています。
平成19年度に行政機関の労働相談窓口に寄せられた相談ケースは、約100万件、対前年比5.4%増加しています。このうち、民事上の個別労働紛争に関するものが、19万件を超え、その相談内容は、解雇(23%)、労働条件の引下げ(136%)、いじめ・嫌がらせ(13%)などとなっています。
この要因としては、長引く景気停滞のなかで、企業がリストラや労働条件の切り下げを行っていることが大きいのですが、そのほかにも、
・行政機関の労働相談体制の充実
・インターネットなどの利用拡大に伴う労働条件の基礎知識の普及
などが挙げられます。
このように、これからも労働者とのトラブルが増加する現状のなかでは、いかにして、トラブルの発生を未然に防止するか、発生した場合でも会社に落ち度のないことをきちんと証明できるかを日頃からリスクマネジメトとして用意しておく必要があります。
従来から労働者と会社とのトラブルは、多数発生し、その解決のための行政判断や判例等の積み重ねのなかで、就業規則などで事前に規定しておけば防げるトラブルもたくさんあることがわかって来ています。
これらのノウハウを就業規則に盛り込んでおくことが労務管理上のリスクマネジメントと言えるのです。
たとえば、労働者が退職を申し入れ、退職予定日まで全て年休を取得するといわれると会社としては、時期変更権を行使することもできず、引継ぎ等に大変苦慮することになりますが、あらかじめ、引継ぎを完了せずに退職した場合は、退職金を減額する規定や退職時に限り年休を買い上げる規定を設けておけば、このようなトラブルもかなり防げるのではないでしょうか。

就業規則の作成・変更のポイント

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